なすの馬券術

優勢脚質 (レース・アドバンテージ)

 コース毎に、独特の流れが存在し、それがこのような不公平を演出します。ゴール前の映像を見ると、鮮やかな直線一気の差し、追い込みが決まるレースと、先行勢がしぶとく残るレースがあります。一見すると3番の前残り馬場に近い印象を受けますが、にたようなものです。ただし、これは先行や差しなどの4つの脚質に加え、別の始点から見た脚質による「レース・アドバンテージ」です。

 鮮やかな鋭い切れ味を「瞬発型」、いい脚を長く使えるタイプを「持続型」といいます。 例えば、同じ上がり34.5でもいい脚を長く使ったと表される馬は、1F当たり平均11.5で走っていることになります。逆に一瞬の切れ味を持った馬は、11.8-10.2-12.5と1Fで一気に距離を縮めているかもしれません。
 後者のような馬は目立つので、例を挙げればすぐに思い当たると思います(アドマイヤベガ、スペシャルウィーク、グラスワンダー…)。どれも、一瞬の切れ味をもっていて直線で鮮やかな差しきりが出来る馬です。

牡馬3冠レースのラップ
図1.牡馬3冠レースのラップタイム比較

理解を容易にする為に、皐月賞、ダービー、菊花賞のラップタイムを比較したグラフを用意しました。

 皐月賞は平均ラップ型。同じようなラップタイムが続いているためグラフは平坦です。このような形態のコースでは持続力有利ですが、瞬発型も展開次第で上位に来ます。
 ダービーは究極の瞬発力勝負。直線に入って一気にラップが縮む区間があります。この様なラップ形態を見せるコースは瞬発力のない馬には用はありません。
菊花賞は持続ラップ型。どんどんラップが早くなり長くいい足を使うことが要求されます。

 そもそも私がこの考えに至った経緯は、スカイパーフェクTVのフジテレビ739で放送中の「競馬予想TV」でダビスタ四天王亀谷氏の言葉に端を発します。そして1999年の菊花賞。このレースはナリタトップロードが優勝し、2着にテイエムオペラオー。私が本命に押したアドマイヤベガは着外。アドマイヤベガについては距離等不安要素が多く疑問視していましたが、前走の京都新聞杯で最後方から一気の追いこみ。このレース振りが菊花賞でもいかんなく発揮できるのではないか、そう思ったからです。

 ところが、本番では前走の面影もなく…。 昔から疑問に思っていたことですが、「なぜダービー馬は菊花賞で結果を残せないのか?」 アドマイヤベガしかり、スペシャルウィークしかり…。その時、先の「競馬予想TV」の中で亀谷氏が言った「持続型」と「瞬発型」が頭をよぎりました。ラップタイムを比較し、愕然。切れる足に2つのタイプがある。昔から言われていた「長くいい足を使うタイプ」と「一瞬の切れ味タイプ」。漠然とその違いは気づいていましたが、ラップを見ることで理論的に説明がつくようになりました。
要は末足のタイプにもコースによって向き不向きがあると言うことです。

 さて、この優勢脚質がどのように「レース・アドバンテージ」に結びつくかと言うと、どのコースを使うかによってあらかじめ決まっています。
 例えば、東京芝1400mは持続力を要求するコースであり、圧倒的に先行馬有利です。この時に生きるのは「持続型」です。逆に東京芝1600mは瞬発力を要するコースで、最後に切れ味を持っている「瞬発型」優勢です。この最たるものは東京芝2400mで、このコースは極限の瞬発力を要します。
 事実、このコースで行われるオークスとダービーの過去の成績を見てみると、差し、追い込みが高い比率を占めていることがお分かりでしょう。特に牝馬には瞬発型が多いので、オークスではその傾向が強くなります。

 当日の馬場状態によっても有利不利をこうむります。東京芝2400mでも前残り馬場であれば、持続力がいきます。この時の「レース・アドバンテージ」は瞬発型ではなく持続型に移ります。前残りは持続型の馬場になるので逃げ先行馬の天下に思えますが、差し馬に能力がある場合は難なくこれを克服します。いわゆるマクリと言う戦法が持続型差し馬の最も顕著な例です(これが出来る馬が少ないため、逃げ先行馬に圧倒的に有利になる)。

2000年4月9日(日) 桜花賞 G1 阪神 芝1600m 馬場状態 良
着順
馬番
馬名
性齢
騎手
斤量
タイム
着差
タイプ
通過順位
上がり
人気
1
8
チアズグレイス  
牝4
松永幹夫
55
01:34.9
瞬発
3-2-2
36.5
6
2
11
マヤノメイビー  
牝4
幸英明 
55
01:35.1
1 1/2
瞬発
6-7-4
36.4
7
3
4
シルクプリマドンナ
牝4
藤田伸二
55
01:35.1
瞬発
7-7-8
36.2
3
4
13
サイコーキララ  
牝4
石山繁 
55
01:35.2
1/2
持続
11-9-4
36.4
1
5
2
サニーサイドアップ
牝4
四位洋文
55
01:35.4
1 1/4
瞬発
11-11-11
36.1
8
6
5
レディミューズ  
牝4
岡部幸雄
55
01:35.4
クビ
持続
3-4-4
36.7
2
7
12
スプリングガーベラ
牝4
後藤浩輝
55
01:35.6
1
瞬発
7-11-8
36.5
12
8
3
ベルグチケット  
牝4
柴田善臣
55
01:35.7
1/2
持続
2-2-2
37.4
11
9
9
ジョーディシラオキ
牝4
武幸四郎
55
01:35.8
3/4
瞬発
1-1-1
37.6
9
10
10
オリーブクラウン 
牝4
的場均 
55
01:35.8
ハナ
持続
7-4-4
37.2
10
11
16
エアトゥーレ   
牝4
武豊  
55
01:36.3
3
瞬発
15-14-14
36.6
4
12
1
アカズキンチャン 
牝4
熊沢重文
55
01:36.3
クビ
持続
7-9-11
37.4
13
13
14
エンゼルカロ   
牝4
田中勝春
55
01:36.4
1/2
持続
13-13-13
37.0
14
14
7
グロウリボン   
牝4
松田大作
55
01:36.5
1/2
持続
3-4-8
37.6
18
15
17
フューチャサンデー
牝4
横山典弘
55
01:36.5
ハナ
瞬発
15-16-16
36.0
5
16
18
カシノエトワール 
牝4
安藤勝己
55
01:36.9
2 1/2
持続
14-14-15
37.2
17
17
6
アルーリングアクト
牝4
秋山真一
55
01:37.0
1/2
持続
15-18-17
36.1
15
18
15
パールビコー   
牝4
上村洋行
55
01:40.2
大差
瞬発
15-16-18
39.2
16
 例えば2000年の桜花賞を見てみましょう。桜花賞の行われる阪神芝1600mは瞬発力を要する代表的なコースです。1番人気のサイコーキララが4着に沈み、6番人気のチアズグレイスが優勝しました。チアズグレイスの勝因が究極の仕上げによるものだと言う向きもありますが、私の見解は違います(詳しくは失笑馬券劇場にて)。チアズグレイスは過去に2度サイコーキララに完封されていますが、いずれも持続力勝負のコースでの結果です。
  瞬発型のチアズグレイスは桜花賞の行われる阪神芝1600mなら逆転も可能。そう思い本命にしました。 優勢脚質は、その馬の脚質タイプ(瞬発型か持続型)を見極め、レースコースや馬場状態が向いていれば「レース・アドバンテージ」があると見なせます。コース適性の別の側面。そう解釈してください。

※瞬発型と持続型の見極め方法は別途述べます(完璧な見極めはまだ見つけられませんが)。

■レース・アドバンテージ用チェックシート

Pingレースの予想ペース: ペースメーカーのペースになります

□ペースがH→適性がHは○、適性がSは×
□ペースがS→適正がHは×、適正がSは○

Ping脚質比率:

□パターンA「逃げ馬が1頭しかいない」→逃げ馬○
□パターンB「逃げ馬が2頭」→片方が控えれば逃げ馬○、だめなら逃げ馬×
□パターンC「逃げ馬が多数いる」→逃げ馬× 先行馬× 差し馬○ 追込馬○
□パターンD「逃げ馬が不在で先行馬の方が、差し馬よりも多い」→差し○
□パターンE「逃げ馬が不在で差し馬が先行馬よりも多い」→先行○

Ping前残り、差しが決まるコース:

□前残り→逃げ、先行馬○
□差し馬場→差し、追い込み馬○

Ping優勢脚質:

□瞬発力コース→瞬発型○
□持続力コース→持続型○

■注意 Warning!!

  • ナスの馬券術に書かれている馬券術を利用し、馬券をはずし経済的、精神的損害を被っても当方には一切責任はありません。馬券は個人の責任において、購入してください。
  • ナスの馬券術は復習(失笑馬券劇場)と合わせるとより効果的です。
  • この馬券術はまだまだ開発中のため、予告なくここの内容を書きかえることがあります

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