なすの馬券術

レースの流れをつかむ

  レースの流れとは展開のことを言います。ただ、一般的に解釈されている展開予想と異なり、どの馬がどの位置につけるかはこだわりません。はっきり言って完全に位置取りを予想することなぞ、連対馬を予想するよりはるかに難しいことであり、無意味です。

  ここでいう展開予想とはどの馬が逃げ、ペースはどうなるかです 。これならぐっと現実味が帯びてきたのではないでしょうか? なすの馬券術ではそのレースの逃げ馬を「ペースメーカー」と呼んでいます。「ペースメーカー」とは文字通り馬群の先頭に立ちレースを引っ張り、レースのペースを握る馬です。
なぜ、ペースメーカーを見つける必要があるのでしょうか?

  それはレースがハイペースになるのかスローペースになるのかを見極めるためです。すごく大雑把な言い方になりますが、スローペースは逃げ先行馬に有利、ハイペースは差し追い込み馬に有利。レースのペース1つで恩恵をこうむる馬、不利を受ける馬がはっきりと分かれるのです。だから、レースのペースをつかんでおく必要があります。

  ペースメーカーの見つけ方は、レースにより様々ですが、基本的には各馬の脚質をチェックし、パターンに当てはめれば良いでしょう。

1.逃げ馬が1頭のみ


  逃げ馬が1頭のみの場合は、すごく簡単です。その馬がペースメーカーになります。単騎逃げが可能な場合は、逃げ馬にとって最も有利な条件がそろったと言えます。あとは、能力が伴っていれば逃げ切りも十分に可能でしょう。
  肝心のペースですが、単騎だからと言ってスローペースになるとは限りません。中には常にハイペースで逃げる逃げ馬もいます。その馬が逃げた過去のレースがどのペースになっているかをチェックしましょう。私の場合、スピード指数を使っているので、平均ペース指数と連対時のペース指数をチェックします。どのようなペースになりそうかは、平均ペース指数を見ます。新聞を使っている場合は、その馬のレースを縦にチェックし、ペースがS、S、Sと並んでいれば、スローペースの逃げ馬だと言えます。今回もスローに落とす可能性が高いでしょう。

2.逃げ馬が複数頭いる

  逃げ馬と言うのは文字通り、レースの先頭に足ってなんぼの馬ですから、複数頭いる場合は競り合って総崩れになることもあります。この場合は、当然ハイペース。場合によっては信じられないほどのハイペースになることもあります。ここがポイントなのですが、逃げ馬の中にも何が何でも鼻に立たないと駄目な奴と、2番手でも折り合える奴の2種類います。

  何が何でも〜が複数頭そろえば、当然先行争いは熾烈を極め先行総崩れの流れが多くなります。力のある逃げ馬でも、4着がやっとではないでしょうか?
逆に折り合える奴が混ざっていた場合は、ペースが落ち着くこともあります。良く見られるパターンとして、2頭の逃げ馬がおり、その内1頭が2番手で折り合えるタイプだった場合は、それほど先行争いがきつくならない事が多いです。いずれにせよ、複数頭いる場合は、逃げ馬にきつい流れになります。

  複数頭いる場合のペースメーカーの見極め方は難しいのですが、私は以下のような手段を使います。その馬の先行指数最高値をピックアップし、最も高い先行指数を示した馬がペースを握ります。新聞を使っている場合は、前半3Fの時計を比較しましょう。精度は落ちますが、ある程度はつかめます。

3.逃げ馬がいない


  確たる逃げ馬がいない場合もペースメーカーを見つけるのが困難になります。この場合、どの馬も鼻は切りたくない、できれば2番手くらいを追走したいと考えているので必然的にペースは落ち着いてきます。このケースでは馬よりも騎手の思惑作戦に大きく左右されるので、明確にペースメーカーを言い当てることはできなくなります。
   あえて、ペースメーカーを見つけるなら、5走以内に逃げあるいは、2,3番手追走などで成績を残している馬を指名します。ただその場合も無理には鼻に立ちたくないのですから、びゅんびゅん飛ばすことはないでしょう。

  では、実際のレースを例にとってペースメーカーの探し方を説明ましょう。例としてあげるのは2000年の「高松宮記念」。下記表は全着順と脚質を表したレース結果です。

2000年3月26日(日) 高松宮記念 G1 中京 芝1200m 馬場状態 良
馬番 馬名 性齢 騎手 斤量 タイム 着差 脚質 通過順位 上がり 人気
1 13 キングヘイロー   牡6 柴田善臣 57 01:08.6 差し 7-10 34.9 4人
2 7 ディヴァインライト 牡6 福永祐一 57 01:08.6 クビ 先行 7-6 34.9 8人
3 5 アグネスワールド  牡6 武豊   57 01:08.7 クビ 逃げ 2-2 35.6 2人
4 16 ブラックホーク   牡7 横山典弘 57 01:08.7 ハナ 先行 4-6 35.2 1人
5 4 トキオパーフェクト 牡6 岡部幸雄 57 01:08.8 1/2 先行 12-12 34.7 9人
6 12 スギノハヤカゼ   牡8 田島裕和 57 01:08.8 クビ 追込 11-10 34.9 7人
7 14 マイネルマックス  牡7 勝浦正樹 57 01:08.9 1/2 差し 12-12 34.8 12人
8 3 ブロードアピール  牝7 武幸四郎 55 01:08.9 ハナ 追込 15-12 34.6 5人
9 8 トロットスター   牡5 後藤浩輝 57 01:09.0 1/2 差し 7-6 35.3 11人
10 10 タイガーチャンプ  牡9 山田和広 57 01:09.1 3/4 追込 15-16 34.7 16人
11 6 ダイタクヤマト   牡7 高橋亮  57 01:09.1 ハナ 逃げ 4-3 35.6 13人
12 2 タイキダイヤ    牝5 四位洋文 55 01:09.1 先行 4-3 35.7 6人
13 17 スピードスター   牡8 吉田稔  57 01:09.3 1 追込 12-12 35.2 17人
14 1 メジロダーリング  牝5 吉田豊  55 01:09.4 3/4 逃げ 1-1 36.3 10人
15 9 シンボリスウォード 牡6 橋本広喜 57 01:09.4 ハナ 逃げ 3-3 36.1 14人
16 15 マイネルラヴ    牡6 蛯名正義 57 01:09.8 2 1/2 先行 7-6 36.1 3人
17 11 ストーミーサンディ 騙8 鹿戸雄一 57 01:10.5 4 差し 17-17 36.0 15人
  このレースでは逃げ馬が4頭顔をそろえ、短距離戦と言うこともありペースが鍵でした。結果を見ると逃げたのは10番人気のメジロダーリング。ほとんど差がなく2番人気のアグネスワールドが続く。思ったとおりレースは速い流れで進み、厳しい流れを強いられた逃げ馬は惨敗(最もアグネスワール以外は人気薄で実力不足の感がありますが…)。当のアグネスも3着に敗れています。3着に残れたのは馬の実力があるためでしょう。 この様に「レース・アドバンテージ」がレースに及ぼす影響はかなりのものです。

■注意 Warning!!

  • ナスの馬券術に書かれている馬券術を利用し、馬券をはずし経済的、精神的損害を被っても当方には一切責任はありません。馬券は個人の責任において、購入してください。
  • ナスの馬券術は復習(失笑馬券劇場)と合わせるとより効果的です。
  • この馬券術はまだまだ開発中のため、予告なくここの内容を書きかえることがあります

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