能力分布図はたいした事をしているわけではありません。単にスピード指数を蛍光ペンで塗ったシートのことを指します。これをすることでレースのレベルや各馬の力関係がよりわかりやすい形で目に入ってきます。私の馬券術の中でもかなり重いウェイトを占めている作業であることは確かです。
ここで改めて私が強調することもないですが、予想するレースのレベルを推し量ることは非常に重要なことです。もちろんここでいうレベルとは、レースのグレードを指すわけではなく、出走馬の質のことを指します。混戦なのか抜けた馬のいるレースなのか−これを見極めます。もちろん新聞に書いてる「混戦」や「軸不動」の文字を信じても良いのですが、自分で判断したほうが納得がいくでしょう。
“能力分布”とは何か? これは出走馬の力関係を目に見えやすい形に置き換える作業を指します。私が実践している方法はいたってシンプルです。スピード指数の印刷された紙に、ピンク、オレンジ、黄色と3色の蛍光ペンで色をつけていきます。
この色はスピード指数の高さを示し、ピンク→オレンジ→黄色の順で指数が低くなっていきます。ここで重要なことは、スピード指数の1点の違いのこだわらず、大雑把に指数が10変わる毎に色を変えていくことです。例をあげると、出走馬の中から指数の高い馬順に3頭上げ、一番低い馬(3位)の馬の指数を基準にします。1位が105。2位が100。3位が98だった場合は、90以上がピンクになります。そして90から10低い80台がオレンジ。70台が黄色になります。
|
能力分布図
- スピード指数表に蛍光ペンで色づけしたもの
- 指数の高い順にピンク→オレンジ→黄色の色をつける
- ピンクが目立つ場合は、混戦
- 黄色が目立つ場合は、低レベルレースか抜けた馬がいる
- レースと同じトラック条件にマーク
|
このとき注意が必要なのは、マークをつける指数は同じトラックのものでなければならないと言うことです。芝のレースでダートの指数を評価に加えることはできません。
スピード指数が10変わると実際のタイムでは1秒変わるので、ピンクから黄色の馬のタイム差は2秒になります。そして何の色もつかない馬はほとんど馬券の対象にはなりません。黄色しか色がつかない馬も、一番指数の高い馬から2秒前後も差があるので、能力を疑ってかかる必要があります。
指数表を全体的に見回し、黄色が多いレースはレベルが低いかあるいは抜けた馬がいるはずです。逆にピンクが目立つ場合は、混戦と言えます。
最近で特にピンクが目立った重賞レースを挙げると、5/14に行われた京王杯SCです。このレースは18頭中6頭までがG1馬で、戦前からレベルの高い1戦として注目を集めていました。指数表を見るとピンクとオレンジが目立ちます。このことからも、実力伯仲の混戦レースであると言えそうです。また、2着のブラックホークにピンクがびっしり並び、安定度と能力の高さが伺えます。
“能力分布図”が教えてくれる、レースのレベルは実に興味深いものがあります。例えば前走のレース振りで断然人気に支持された馬がいるレースがあったとします。すると新聞などのメディアはこの馬の相手探しだと触れ回り、オッズもそれに呼応してぐんぐん下がっていきます。
でも、能力分布図を見ると実は上位混戦。あっけなく1番人気が飛び、能力上位の馬どうしで決まったりもします。自分でレースのレベルをさぐる−これは非常に重要なプロセスです。