File.03 [弥生賞馬が皐月賞で勝てない訳] 勝利の方程式

■参照


■皐月賞ラップタイム(1999〜2000年)
1990〜1999年皐月賞ラップ
  ■牡馬クラシックレースラップタイム比較
牡馬クラシックラップタイム

表6.皐月賞のラップタイム表

  1F 2F 3F 4F 5F 6F 7F 8F 9F 10F タイム 順位 平均 前半 1000m 上がり ペース
1999 12.5 10.4 12.5 12.3 12.4 12.2 12.4 12.1 12.1 11.8 120.7 3 12.1 35.4 60.1 36.0 M
1998 12.5 11.2 11.8 12.5 12.4 12.0 12.2 12.6 11.9 12.2 121.3 5 12.1 35.5 60.4 36.7 M
1997 12.3 11.7 12.0 12.8 12.3 12.0 12.4 12.3 11.6 12.6 122.0 8 12.2 36.0 61.1 36.5 S
1996 12.2 11.0 11.2 12.3 12.5 12.6 12.8 12.2 11.9 12.0 120.7 4 12.1 34.4 59.2 36.1 H
1995 12.5 11.2 11.7 13.2 12.4 12.4 12.4 12.4 11.8 12.5 122.5 10 12.3 35.4 61.0 36.7 S
1994 12.2 11.1 11.5 12.2 11.8 11.9 12.2 12.1 12.0 12.0 119.0 1 11.9 34.8 58.8 36.1 H
1993 12.4 11.2 12.0 12.6 12.3 12.1 12.1 11.9 11.8 11.8 120.2 2 12.0 35.6 60.5 35.5 M
1992 12.7 11.1 11.6 12.5 11.9 12.1 12.4 12.4 12.1 12.6 121.4 6 12.1 35.4 59.8 37.1 M
1991 12.3 10.8 12.1 12.8 12.4 12.1 12.3 12.4 12.3 12.3 121.8 7 12.2 35.2 60.4 37.0 M
1990 12.6 11.5 11.6 12.6 11.9 12.0 12.4 12.7 12.0 12.9 122.2 9 12.2 35.7 60.2 37.6 M
平均 12.4 11.1 11.8 12.6 12.2 12.1 12.4 12.3 12.0 12.3 121.2 - 12.1 35.3 60.2 36.5  

けんすけ:おまけとして、牡馬クラシックレースのラップタイム表をつけるぜ。
なぎさ:なんだか、頭がくらくらしてきたよ(笑)。細かい数字ばっか!
けんすけ:ダービーは瞬発力勝負になりやすく、直線で伸びる脚をもった馬が有利。菊花賞は3
4角当たりから徐々に早くしていき、ゴールまで脚を持続させる持続型の競馬。皐月賞は、淡々と同じようなペースが続く持続型(平均ラップ型)。
なぎさ:なんか違いがあるの?
けんすけ:皐月賞は瞬発型、持続型どちらでも連に絡める。というのも、4角でまくるように仕掛けて(持続)もいいし、直線で一気に追い込んでもいい(瞬発)。要は展開1つでどちらにでもなるから、瞬発型有利、持続型有利とは考えない方がいい。
なぎさ:さっき言ってた、人気馬に埋もれた実力馬を探せって事ね。
けんすけ:皐月賞連対馬のローテーションはほとんど、4つに限られているからこの4つのレースの出身馬の格付けをきちんと行えば、自ずと勝ち馬が見えてくるだろうぜ。
なぎさ:ところで、今日は赤井さん(赤ペンおやじ)の姿が見えないけど、どうしたのかな?
けんすけ:ああ、さっき来てたけど、ラップ表を見せたとたんに目をまわして逃げてったぜ(笑)。

■皐月賞ラップ分析

  • 過去10年の成績を見ると、瞬発型と持続型が半々で連対している。これはダービーや菊花賞とは対照的な結果。
  • 皐月賞のコースは持続力と瞬発力双方を要求する。故に仕掛け方によりどちらの脚質も連対する。
  • 持続型ラップゆえに、どの年もよどみなく流れることが多い(これを次走の評価の際に加えないほうがよい)。

■皐月賞ステップレースの位置付け


表7.ステップレースのラップタイム表
レース名 1F 2F 3F 4F 5F 6F 7F 8F 9F 10F
皐月賞 12.4 11.1 11.8 12.6 12.2 12.1 12.4 12.3 12.0 12.3
弥生賞 12.6 11.4 12.4 12.6 12.3 12.1 12.3 12.2 12.2 12.2
スプリングS   12.6 12.0 12.2 12.1 11.9 12.3 12.4 12.5 12.5
若葉S 12.6 11.4 12.6 12.7 12.5 12.4 12.5 12.4 12.5 12.5
毎日杯 12.7 11.4 12.5 12.8 12.5 12.5 12.1 12.2 12.1 12.3
  皐月賞ステップレースの平均ラップ

G2 弥生賞 皐月賞まで約中5週

  • 皐月賞までの間隔が最も長く、そのため有力馬が集まりやすい
  • 皐月賞の施行される中山芝2000mを使用。
  • 例年レベルが高いレースが多く、きつい流れを制してしまうと反動が出やすい。
  • 賞金額の高いG2レース。
  • 皐月賞で人気になりやすい。
  • 皐月賞優勝馬はこのレースの出身馬が多い。

G2 スプリングS 皐月賞まで約中3週

  • 皐月賞までの間隔は中3週と、標準的なローテーション。
  • 皐月賞よりも200m短い。
  • 弥生賞よりもメンバーが薄くなりやすく、その分有力馬にとって負担は軽くなる
  • 賞金額の高いG2レース。
  • 皐月賞で人気になりやすい。

OPEN 若葉S 皐月賞まで約中3週

  • 皐月賞までの間隔は中3週と、標準的なローテーション。
  • 今年から阪神コースで行われるため、少々傾向が変る可能性があるが、中山芝2000mというコースに意味があるのではなく、ローテーションとレースのグレードに意味があると思われるので、しばらくは同じ傾向が続きそう。
  • 賞金の低いOPEN戦のため、有力馬が少なくレベルの高低差が激しい。
  • メンバーが手薄になりやすいため、本当に強い馬、有力馬が本番への余力を残しやすい。
  • 皐月賞で人気になりにくい
  • 皐月賞連対馬はこのレース出身馬が多い

G3 毎日杯 皐月賞まで約中2週

  • 皐月賞までの間隔が中2週と最もきつい。
  • 指定トライアルレースではないが、重賞のためここで勝ち負けすれば、賞金的に皐月賞への出走権を得られる。
  • ローテーション的にきつく、皐月賞への間隔が短いため、皐月賞に出走するために高額な追加登録料を払わされる可能性がある(1999年毎日杯優勝馬テイエムオペラオーなど)。

■弥生賞と若葉Sをスピード指数で捕らえた場合の考察


表8.弥生賞連対馬のスピード指数
開催日 馬名 騎手 人気 馬場 着差 通過順 上がり 補正SP SP ペース 先行 上がり 皐月賞の人気 皐月賞の着順
000305 フサイチゼノン 藤田伸二 1 1 -0.2 6-4-2 35.9 87 87 -6 0 13 RETIRE RETIRE
000305 エアシャカール 武豊 4 2 0.2 16-13-4 35.3 85 85 -13 -7 18 - -
990307 ナリタトップロード 渡辺薫彦 2 1 -0.2 8-7-2 35.3 88 78 -20 -14 18 2 3
990307 アドマイヤベガ 武豊 1 2 0.2 12-14-13 35 89 77 -24 -18 21 1 6
980308 スペシャルウィーク 武豊 2 1 -0.1 8-7-6 35.4 92 92 -5 1 17 1 3
980308 セイウンスカイ 徳吉孝士 3 2 0.1 1-1-1 36.2 91 91 0 6 11 2 3
970302 ランニングゲイル 武豊 3 1 -0.5 13-4-1 35.7 82 82 -9 -3 11 2 6
970302 オースミサンデー ペリエ 4 2 0.5 7-12-8 35.6 78 78 -14 -8 12 4 中止
960303 ダンスインザダーク 武豊 2 1 -0.2 9-6-5 35.1 91 83 -16 -10 19 RETIRE RETIRE
960303 $ツクバシンフォニー 横山典弘 3 2 0.2 2-2-2 35.7 81 81 -13 -9 14 - -
950305 フジキセキ 角田晃一 1 1 -0.4 2-2-1 36.4 93 93 -5 1 18 RETIRE RETIRE
950305 ホッカイルソー 蛯名正義 2 2 0.4 9-8-8 36.3 89 89 -10 -4 19 2 4
940306 サクラエイコウオー 小島太 4 1 -0.4 1-1-1 36 84 84 -2 4 6 3 8
940306 エアチャリオット 横山典弘 2 2 0.4 2-4-3 36.1 81 81 -4 2 5 2 16
930307 ウイニングチケット 柴田政人 1 1 -0.3 11-7-6 35 97 97 1 7 16 1 4
930307 ナリタタイシン 武豊 2 2 0.3 10-7-6 35.4 95 95 2 8 13 3 1

表9.若葉S連対馬のスピード指数
開催日 馬名 騎手 人気 馬場 着差 通過順 上がり 補正SP SP ペース 先行 上がり 皐月賞の人気 皐月賞の着順
000318 クリノキングオー 幸英明 11 1 -0.1 16-14-11 36 81 81 -7 -1 8 - -
000318 タイムリートピック 熊沢重文 9 2 0.1 5-3-3 36.8 80 80 -2 4 2 - -
990327 マイネルプラチナム 木幡初広 1 1 0 11-9-10 37.7 82 73 -17 -11 10 3 9
990327 ドラゴンブライアン 菊沢隆徳 3 2 0 11-6-3 37.9 81 73 -16 -10 9 9 13
980328 グリーンプレゼンス 河内洋 1 1 -0.1 13-11-8 35.6 89 89 -10 -4 19 - -
980328 フジラッキーボーイ 中舘英二 10 2 0.1 4-4-2 36.1 88 88 -7 -1 15 8 11
970322 シルクライトニング 安田富男 5 1 0 6-6-6 37.9 88 88 3 9 5 10 2
970322 フジヤマビザン 村本善之 6 2 0 2-2-2 38.2 88 88 6 12 2 12 3
960317 ミナモトマリノス 田中勝春 2 1 -0.4 8-6-5 37 88 88 -4 2 12 3 4
960317 ロイヤルタッチ 蛯名正義 1 2 0.4 4-4-2 38 85 85 1 7 4 1 2
950318 ジェニュイン 田中勝春 2 2 0.9 5-4-4 39.7 81 81 -4 2 5 3 1
950318 マイネルブリッジ 柴田善臣 3 3 1 4-3-3 39.9 81 81 -3 3 4 10 7
940319 オフサイドトラップ 安田富男 1 1 -0.1 1-1-1 35.9 78 78 -12 -6 10 5 7
940319 トニーザプリンス 坂井千明 4 2 0.1 8-13-10 35.1 87 77 -19 -13 16 7 5
930320 *ビワハヤヒデ 岡部幸雄 1 1 -0.3 3-2-2 35.7 99 99 4 10 15 2 8
930320 ケントニーオー 蛯名正義 3 2 0.3 5-4-5 35.8 97 97 3 9 14 - -

【弥生賞】

平均スピード指数:88
平均ペース指数:-8.6
平均上がり指数:14.4
皐月賞の平均人気:2.1
皐月賞の平均着順:5.4


スローペースにやりやすいが、それを覆すような胸のすく上がり勝負となる事が多い。また、平均スピード指数が高い事からよりレベルの高いレースが多いといえる。通過順位からも、スピード指数からも見ても厳しいレースが多い事が分かる。 また、平均スピード指数が高いという事は次走の皐月賞でも人気になりやすく、皐月賞の平均人気が2.1という事からも裏付けられている。

【若葉S】

平均スピード指数:86
平均ペース指数:-5.3
平均上がり指数:9.4
皐月賞の平均人気:6.1
皐月賞の平均着順:6.0


弥生賞に比べ、平均ペースでのレースが多い。指数も上がりともに平凡。指数的に見てあまり強調材料が無いが、時々他馬よりも指数が高い馬が出走している事がある。これがローテーションの緩をぬって出走してきた有力馬である。ビワハヤヒデのときが最も顕著で、スピード指数99は古馬にも匹敵する好時計であり、同馬のその後の活躍を予見させるものであった。

【総括】

皐月賞の2大ステップレースである弥生賞と若葉Sをスピード指数を使って検証した。このデータを見る限り、本編で述べた考察が正しい事が分かる。弥生賞は皐月賞で人気になりやすいが、上位馬は厳しいレースをしている事が多く、余力がどの程度残っているかを見極める必要がある。若葉Sは連対馬の平均着順はほとんど皐月賞と変らないのにもかかわらず、人気にならない事が多くレベルが高い年の若葉S組みは狙って妙味がある事といえる。上記データは、レベル差等を明確にするために連対馬しかあげなかったが、本番では同レース5着馬までが連に絡んでおり、人気薄のため万馬券を演出している。 若葉S組みは複勝率も高いためワイドで狙うのも手。

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